砕石業界3
砕石業界はコンプライアンスが本当に残念だった。
良い例にイミテーションメーカーの存在がある。
イミテーションメーカーというと聞こえは良いが、要するに模造品製造メーカーである。
石を割るという暴力装置を動かすと、石と直接接する部品やボルトはかなりの頻度で摩耗する。
摩耗した部品は正規メーカーから新品を買って取り替えるのだが、この摩耗する部品に狙いを定めて正規メーカーより安く物を作って売るのがイミテーションメーカーである。
何がタチが悪いかというと、イミテーションメーカーは結構な割合で正規メーカーを退職した職人が起こした会社であることだ。
ひどいところは正規メーカーのある機械の元設計職人が、自分の作った機械の部品のバッタ物を作って売っているのである。
もはやコンプライアンス云々というより人としての仁義の問題だ。
かくいう僕がいた残念な商社も正規メーカーの代理店をやりつつ、そのメーカーの機械部品の模造品を某国で作らせていた。
それを正規メーカー品の三割引ぐらいで売るのである。
本当に生き馬の目を抜く悪化悪霊の世界であった。