決闘
雨の休みの徒然に、くだらないB級チャンバラ映画を見ていた。
人がバッサバッサと切られていくようなやつだ。
ストーリーも単純な勧善懲悪モノで、頭を使いたくないときには調度良い代物だった。
子供の頃からあの手の映画の「殺陣」には疑問を抱いていた。
色々とツッコミどころは満載だが、特に切られ方や死に方にあまりにリアリティがない。
もちろん、リアリティ出しすぎると放送できなくなるのもわかっているけど。
いつだったか父に決闘の話を聞いたことがある。
武士が野原で殺し合うタイプのアレだ。
いわゆる真剣勝負と言うやつである。
父の祖父が幼少の頃に叔父にきいたとのことなので、おそらく幕末の話だ。
そこまでに及ぶ委細はよくわからないが、2人の男が切り合いをして、決着がつくまでを見届けたそうだ。
実際の真剣勝負というのは、チャンバラのように激しく切り合ったりはしないらしい。
双方が睨み合う形が長く続き、どちらかが踏み込んで少し刀を合わせ、また離れてにらみ合い、を何度も繰り返すらしい。
万事この調子なので、当事者には命の取り合いでも傍から見ているには退屈なものだったらしい。
2時間ほど決闘をし続けた結果、片方が精神力と体力の限界を迎えたところを、相手が討ち取ったらしい。
結局は剣術や技ではなく、気力勝負だったそうだ。
そのころはちょっと期待はずれのガッカリ話だったが、今思うとなかなかリアリティに溢れ、妙味があると思う。