下京区コンプトン

下京区コンプトンに住んでいました。

勉強

現在、オーストラリアはキャンベラにて学校に通いだしてから、早4週間目になります。

世代も国籍もバラバラですこし距離のあったクラスメイトたちとも随分打ち解けてきておりまして、英語の習得度も上がってきているので様々な話をするようになりました。

 

先日の帰り道、台湾の友人がクラスにいるある女性への不満を話ていました。

不満の理由は、その女性の授業態度がすこぶる悪いということでした。

授業には遅れてくる、先生の話は聞いてないしずっとスマホをいじっている。

変なタイミングで立ち歩くし、関係ない話もすれば人の答案を覗き見する。

その女性は中国本土からの移住者なので、言葉の話せる私が一度きつく注意してやろうと思う!勉強したくないならクラスから出ていってほしい!と大変憤ったご様子でした。

 

話を聞いていて、誰のことかはよくわかりました。

実はその女性、別の授業で僕と同じクラスになっており、少し会話したこともあるのです。

確かに、授業態度は大変に悪い。

なんというか、ふてくされた感じなのです。

でも正直、そこまで彼女を責める気にもなれませんでした。

多分僕も、昔は同じような態度で勉強と向き合っていたと思うからです。

 

彼女はまだ若く、この前こちらの高校を卒業したとのことでした。

どうやら、親の都合でこちらに引っ越してきたようです。

彼女の態度の原因は、まずここにあると思います。

恐らくは彼女にとって、この学校は不本意な場所なのです。

完全なる自分の意志でこの学校にいるのではないのです。

 

彼女は学費も親に出してもらっているのでしょう。

日本の学生は多くがそうだと思いますし、僕もそうでした。

だから、勉強することに多くのコストが支払われていることが感じられない。

だから、その価値がわからない。

だから、真剣になれない。

 

今僕のいる学校は、先に行ったとおり本当に様々なバックグラウンドを抱えた人たちが集まっています。

僕のように好奇心でこの国に来た人もいれば、新しいキャリアへの挑戦やより良い生活を求めやって来た人もいます。

中には本国での迫害や戦災を逃れて来た人もいます。

共通することは、自分の人生をより良いものにするために、それなりのコストをかけてリスクを負ってこの学校に通っていると言うことです。

だから彼女のような人は、不運にも浮いた存在になっているのです。

 

台湾の友人もこちらで一年中華料理屋で働いて学費を稼いだと言っていましたので、

彼女への憤りの意味もよくわかります。それほどに真剣なのです。

 

勉強することは本当にしんどいことです。

僕も勉強は大嫌いだったし、今も好きとは言えません。

毎日家に帰ってノートを見返すのも、かなりの精神力を要します。

この歳になって大変に恥ずかしいことだとは思いますが…。

でもやれているのは、色々なバックアップもさることながら、自分の意志で勉強を選択し、コストとリスクを賭しているからだと思います。

 

彼女は恐らく、僕の友人に注意されようと態度を変えないでしょう。

先生に言われようと難しいと思います。

根本的に、勉強と向き合っていないのだから。

ただ僕は、昔の僕を見ているような彼女が、いつかその姿勢を改める日が来ればいいなと思っています。

できれば、僕よりもっと早いうちに…。

 

友人をなだめながら、そんなことを思った帰り道でした。