タコライス
沖縄が好き、あるいは住んでいた経験がある人はわかると思います が、沖縄料理を衝動的に食べたくなることが、 まあ時々あるわけです。
沖縄料理は結構味が濃く、がっつりしたものが多いので、たまにジ ャンクフードを食べたくなる衝動と似ていると思います。
最近は沖縄料理の店も増え、そういった衝動に応えられる気の利い たお店もちらほら出てきましたが、 どうしても再現しきれていないものが一つあります。
それがタコライスなのです。
実のところ、あれはタコライスではありません。
「タコライスに似せた何か」です。
異論は認めません。
本物と何が違うかと言うと、まず決定的なのは量です。
必然、その量は多く、味はわかりやす濃く、腹に溜まるというもの に仕上がっていきます。
内地(沖縄県外のこと)のカフェで提供されているそれとはそもそ もの運用思想や成り立ちが違うわけであります。
一般的に内地で供されているものは、中ぐらいのボウル皿やカレー 皿に盛られて出てきますが、
本物のタコライスは長辺が30センチはあろうかというフチの低い 平皿または丸皿に盛られています。
まずその平皿に敷き詰めるように白米が盛られます。
皿の上に余白は一切ありません。
余すところなくしっかりと飯が敷き詰められます。
その上からタコスミートをかけ、その上にいかにもアメリカ的な黄 色い千切りチーズを乗せます。
さらに上から暴力的な量のレタス、一個分はあろうかというざく切 りのトマトを乗せ、標高10~15cmほどの山が皿の上に出来上 がったら完成です。
この上に辛いサルサソースを好きなだけかけて食します。
食べ始めたら一心不乱に、黙々と腹に収めていくのが正しい食し方 です。
味の面でもタコライスと内地のそれには圧倒的違いが有ります。
本当のタコライスは、実に基本に忠実なのです。
正統派のタコライスを提供する店は県内にチェーンで数種類あるの ですが、どこしっかり濃く、辛く、ジャンクな味がします。
内地のそれは量の問題を外しても、変にアレンジを効かせようとす るので、かえってコレジャナイ感が強くなるのです。
ソースを甘くしたり、マヨネーズかけたり、アボカド乗せたりなど はもっての他です。
そこに何かを加えたり減らしたりすることはありえません。
オムライスにしてみるなどもっても他なのでございます。
内地に帰って7年になりますが、いまだに内地に真のタコライスが進出する気配はありません。
そろそろキングタコスあたりに頑張ってもらいたいところでございます。