下京区コンプトン

下京区コンプトンに住んでいました。

タコライス

沖縄が好き、あるいは住んでいた経験がある人はわかると思いますが、沖縄料理を衝動的に食べたくなることが、まあ時々あるわけです。
沖縄料理は結構味が濃く、がっつりしたものが多いので、たまにジャンクフードを食べたくなる衝動と似ていると思います。
 
最近は沖縄料理の店も増え、そういった衝動に応えられる気の利いたお店もちらほら出てきましたが、どうしても再現しきれていないものが一つあります。
それがタコライスなのです。
 
タコライスなんかそのへんのカフェでも出しているじゃないかと思う方もあると思いますが、それは全く見当違いなアドバイスであります。
実のところ、あれはタコライスではありません。
タコライスに似せた何か」です。
異論は認めません。
 
本物と何が違うかと言うと、まず決定的なのは量です。
 
そもそもタコライスは米国海兵隊基地の街、金武町で開発されたメニューでありまして、屈強な海兵隊や軍属、基地や港湾で働く肉体労働者の腹を満たすことを目的に作られております。
必然、その量は多く、味はわかりやす濃く、腹に溜まるというものに仕上がっていきます。
内地(沖縄県外のこと)のカフェで提供されているそれとはそもそもの運用思想や成り立ちが違うわけであります。
タコライスブルーカラーソウルフードといえるものであり、決してオフィスでパソコンを叩く頭脳労働者やOLの小腹を満たすような生易しい代物ではないのです。
 
一般的に内地で供されているものは、中ぐらいのボウル皿やカレー皿に盛られて出てきますが、
本物のタコライスは長辺が30センチはあろうかというフチの低い平皿または丸皿に盛られています。
 
まずその平皿に敷き詰めるように白米が盛られます。
皿の上に余白は一切ありません。
余すところなくしっかりと飯が敷き詰められます。
その上からタコスミートをかけ、その上にいかにもアメリカ的な黄色い千切りチーズを乗せます。
さらに上から暴力的な量のレタス、一個分はあろうかというざく切りのトマトを乗せ、標高10~15cmほどの山が皿の上に出来上がったら完成です。
この上に辛いサルサソースを好きなだけかけて食します。
食べ始めたら一心不乱に、黙々と腹に収めていくのが正しい食し方です。
 
味の面でもタコライスと内地のそれには圧倒的違いが有ります。
本当のタコライスは、実に基本に忠実なのです。
正統派のタコライスを提供する店は県内にチェーンで数種類あるのですが、どこしっかり濃く、辛く、ジャンクな味がします。
内地のそれは量の問題を外しても、変にアレンジを効かせようとするので、かえってコレジャナイ感が強くなるのです。
ソースを甘くしたり、マヨネーズかけたり、アボカド乗せたりなどはもっての他です。
 
タコライスは王道を外さないからこそタコライスなのであり、
そこに何かを加えたり減らしたりすることはありえません。
オムライスにしてみるなどもっても他なのでございます。
 
内地に帰って7年になりますが、いまだに内地に真のタコライスが進出する気配はありません。
そろそろキングタコスあたりに頑張ってもらいたいところでございます。