自炊
自炊をよくする。
趣味というよりも必要に駆られてのことである。
一人暮らしでお金もそんなにないけど、ちゃんとした食事を三食しっかり食べたいとなると自炊以外に選択肢はない。
自炊は主に母親の真似事から始まって今に至るが、男が当然のように料理をするという概念を教わったのはバイトしていたラーメン屋の店長だった。
賄い付きだったそのラーメン屋では、暇な時にメニューにない料理を作ってくれることがあった。
だいたいは店長が片手間で作ってくれるもので、少ない材料を工夫してバリエーションを作ってくれていた。
店長は僕に
「これからは男も料理ができなあかん、女に胃袋掴まれるんやなくて、逆に掴んだるんや」
と言っていた。
残念ながら掴まれるチャンスも掴むチャンスもほとんどなく現在まで来てしまったが、「自活する」「少ない材料で工夫をする」という概念は現在でも役に立っている。
たまに手抜きもするけど、自ら美味しいものを作れるのはなかなかスキルだ。