下京区コンプトン

下京区コンプトンに住んでいました。

計画

基本的に怠惰である。

決めたことはやらないし、習慣づけようと思ってもほとんど続かない。

思えば小4あたりから宿題をやった記憶がなく、マトモに勉強するのはテスト前だけ。

大学を出るまで万事その調子で、適当に体裁を見繕ってやってきた。

そして今そのツケを払っている次第である。

 

無計画と適当の極みだっため、長期的スケジュールというのを組みはじめたのもごく最近である。

これが大変に難しい。

 

夏休みの計画表というのは、今考えると一番大事な宿題だったと思う。

自分の力を見極めた計画を立て、毎日地道に実行し、折を見て調整しながら目標に到達する。

あんなこと子供に出来るわけないと思っているが、意外とみんな努力はしていたのかも知れない。

 

そんなわけで本日長期スケジュールを見直したところ、資格試験まで二ヶ月を切っていることに気づいた。

おまけにこの期間、個人的な企画ごとや会社のイベントの準備など、かなりのタスクを同時並行でこなす必要があることも発覚した。

現時点でかなり厳しい。

 

しかし、気づいただけ良いだろう。

昔ならそのまま進んで確実に全て爆死しているし、その後爆死するのが怖いから挑戦しないという悪循環だった。

曲がりなりにも爆死しない算段があったから、色々仕掛けて挑戦している訳だし、やればなんとかなるだろう。

もちろん、やればだけど。

 

進みは遅いかもしれないが、仕方ない。

進まないよりよっぽどマシである。

 

まあなんと言うか、頑張ってやっていきましょう。

 

道中より

スーツを着るのは苦手だ。

冠婚葬祭以外で着ることがないため、大変に準備に時間がかかる。

 

スーツを着るときはまずアイテム探しから始まる。

最後に着たのが半年前なんてこともザラなので、スーツ、シャツ、ベルト、靴、ネクタイ、腕時計、あらゆるものの所在がわからなくなっている。

今回もベルトの所在がわからず、普段使っているものを使わざるを得なかった。

万事この調子なので、洒脱なスーツスタイルなんて格好がつくはずもなく、なんとか体裁を保つのがやっとである。

 

おまけにスーツは成人式から同じ一張羅、靴は普段は履きにも使っているサービスシューズだ。

大手広告代理店やマトモな会社勤めの人間が多いであろう今回の祝宴に、このナリで顔を出すのは少々気がひける部分がある。

やはりそろそろスーツぐらい買い換えるべきであろうか。

せっかくならテーラーで自分に合ったものを全身揃えで仕立ててもらおうと思っていたが、結局やらないままに数年が経とうとしている。

 

まあよく考えると、今回僕の格好を視界に入れるような人間はごく限られている。

友人は僕がそういう人間だということは知っているはずだし、特に気にすることもないだろう。

きっと奥さんも寛容な人だろう。

そう願いたい。

 

今、友人の結婚式の二次会に向かっている。

前々から結婚したいと宣っていたので、本当に良かったと思う。

 

蒸し暑いけど天気は良いし、きっと素敵な祝宴になるだろう。

普段はリア充爆発しろとばかり思っているけど、たまには幸せな2人を見るのも良いではないか。

ましてそれが友人ならなおのことである。

 

祝宴の道中、車窓から見える西日に輝く煙突の群れを見ながら、そんなことを考えている。

 

友よ、おめでとう。

 

シーシャ

今日はシーシャ好きの友人とシーシャカフェに行っていた。

街中にあるのかと思いきや、上京区の閑静な住宅街の中にあって驚いた。

 

夏らしいフレーバーを吸いながら、友人と他愛のない話をしていた。

外は薄曇りで軽く雨も降っていて、シーシャ特有の気だるい雰囲気にぴったりのだった。

 

シーシャはまだまだマイナーな娯楽だが、だらだら喋るのにはぴったりなので好きだ。

ネガティヴでインモラルな印象を持たれやすいが、ベクトルが違うだけでとてもポジティブだと思う。

 

友人とも話していたが、日本人のポジティブ感では晴天の下で元気に身体を動かすようなイメージばかりが是とされ、シーシャのようなことはネガティヴとして受け入れられる傾向があると思う。

でも、雨天の中ぼんやりシーシャー吸ったり、晴天の日陰でじっくり苔を観察することも、同様にポジティブだと僕は思う。

そういうのも受け入れられる雰囲気できたらいいよね的な話をした。

 

調子に乗って2本目を頼んだら、見事に体調を崩した。

何事も過ぎたるは毒だ。

初めはクラクラが強くなり、冷や汗が出て腹が下り、腰が痛くなるという症状が合わせ技で出てきて不可解だった。

 

家に帰って寝たらすぐに治ったが、多分あれは全身の血流が悪くなっていたんだと思う。

貧血の症状に似ていた。

 

本当に結構つらかったので、次回から2本目は頼まない、酒飲んだら吸わない、空腹で吸わないなどのルール設定をすることにした。

 

でもまた行きたい。

香港

職場に来た香港からのゲスト、アンジェラと仲良くなったので午後から半日観光案内をして来た。

久々の長時間の英会話はとてもハードで、脳汁がダラダラ出るかんじがした。

 

外国のゲストとの話題で多いのは、文化やルールの違いの話だが、今日は物価の話をすることが多かった。

香港は近年、経済発展に伴い物価の上昇がひどくなり市民生活の負担になっているらしい。

特に土地代に関してはさすが狭い香港。

二畳ほどの風呂もトイレもない部屋の家賃が10万円以上するらしい。

若者の一人暮らしなどまず出来ないそうだ。

 

車いじりが趣味のアンジェラは、自分の車を持っているが、駐車場だけで月5万円支払っているらしい。

下京区コンプトンは水道代込みで4万ちょいなので、僕は香港の駐車場代に届かない場所に住んでいるということだ。

香港物価の異常さもあるが、何となく悲しい気持ちになった。

 

そんな他愛のない話をずっとしていたが、今まで縁のなかった香港という土地が急に身近で魅力的に思えるようになって来た。

なんだかんだ言って彼女は香港が好きなのだろう。

土地の魅力は、そういう言葉の断片から滲み出るものなのかも知れない。

 

もはやジャッキーチェンの暴れまわる香港はそこにはないらしい。

僕の香港感を更新するため、近いうちに香港のを訪れたいと思う。

 

 

3時の光

暖かくなってきたので、友達を誘ってSUPをしに行ってきた。

SUPとは、Stand up padleの略語で、大型のサーフボードを漕いで進むスポーツである。

昨年にボードを購入し、ちょくちょく遊んでいる。

 

奥琵琶湖の小さな浜でのんびりしながら、適当にSUPで水面を流したりしていた。

 

ちょうど最後に乗った時が、いわゆる「夕まずめ」の時間帯だった。

魚が最も良く釣れる時間帯の一つである。

 

この時間帯は、とても光が綺麗である。

僕はそれを「3時の光」と呼んでいる。

だいたい夏場の午後3時ごろの光だからだ。

 

この時間帯になると光が斜めに入って来るので、水面が光を反射するようになる。

波が立つとキラキラ輝き、凪いでいるとまるで鏡のようなのっぺりした光沢が出て来る。

どちらも大変に美しい。

 

その中をSUPで漕ぎ出すと、光の中を静かに滑るソリのようである。

昼間吹いていた風も収まり、遠くで響いていた子供たちの声も消え、聞こえるのはパドルの水音と一緒に乗っている友達の声だけだった。

それが、昨日のハイライトで最も印象に残った瞬間だ。

 

この夏あと何回SUPが出来るかわからないが、また3時の光に触れに行ってみたいと思う。

 

カレー屋

近所にカレー屋がある。

スパイスから仕込む系の本格スリランカ風カレーの店だ。

少し値段は高めだが、確かに美味い。

自信を持って人にオススメできる下京区コンプトン界隈の名店である。

 

店の壁がきつめの青で塗ってあるなど、基本クセ強めの店なのだが、特にすごいのがここの店長である。

 

何がすごいかと言うと、本当にいつ見ても人民帽を被っているのだ。

人民帽とは、毛沢東が被っているカーキ色の潰れたアンパンみたいなアレである。

日本で人民帽を普通に被っている人など下北沢にしかいないと思っていたが、まさか我が下京区で出くわすとは。

 

しかも、その人民帽が実にしっくりくる顔出ちをしている上に、ショートボブに口髭という決まりすぎなビジュアルなのである。

狙ってやっているか、相当の香港映画好きかなどちらかである。

 

いつか仲良くなったら「お前に食わせるタンメンはねえ」って言ってもらおうと思っている。

 

ちなみに「ムジャラ」という店です。

金曜日はビリヤニもやってます。

焼きそば定食

先日、ある会社が飛び込み営業でカタログを置いて行った。

カタログには懐かしい名が書いてあった。

大学時代、就活の終わりに最後に行った会社だ。

 

就活の終わりと言っても、どこかから内定が出ていた訳ではない。

折しもリーマンショック後の不況の中、「なんで働いてやるのにスーツ着て頭下げなきゃいけねーんだ」と本気で思っていたノースキルのクソ学生を雇う会社などあるはずがなかった。

 

最初の方は多少マジメにやってもいたが、三ヶ月もしたらほとんどやる気が無くなっていた。

上記のようなメンタリティで、あのような非人間的活動が続く訳ないのだ。

作文を書き、着心地の悪い服を着て、オッサンに会うために大阪に通う毎日。

日に日に無気力になっていき、お祈りメールに対して「うるせー全員死ね」と返信する元気さえ無くなっていた。

せっかくたどり着いた最終面接も、雨でダルいのでキャンセルしたりしていた。

卒業したら南の島で金が尽きるまで隠遁生活を送りたいと本気で思っていた。

 

しかし実家住まいなので何もせずにゴロゴロしているのもバツが悪い。

とりあえずそれらしく会社を受け、格好だけはつけていた。

 

ある日受けた会社は、大阪の鶴橋が本社だった。

鶴橋は行ったことがなかったので、小旅行がてら説明会に行ってみることにした。

 

結果的に言うと、かつて見た中でも最悪の会社だった。

まず説明会の冒頭から小デブの人事が喚いていて不快だった。

とりあえずビデオ見てくれ的なことを言い残して始まったVTRがこれまた酷いのである。

要約すると、飛び込み営業を繰り返して社のために命を賭して働け、といった内容。

なかなか最悪すぎて逆に笑えた。

 

茶番VTRが終わると、小デブが輪をかけて横柄な態度でこう言った。

「これ見てキツいなと思った人、帰っていいからね!ウチは本当にやる気ある奴しか採らないから!」

 

僕は荷物をまとめて帰った。

人事や周囲の嫌な視線を感じながら、元来た道を駅まで戻った。

 

帰り道、僕はダメな奴だと思った。

あの豚の演説の後、席を立ったのは僕を含めて2、3人しかいなかった。

みんな、必死なのだ。

しかし僕はこんなにも無気力で、怠惰で、ぼんやりと生きている。

つくづくダメな奴だと思った。

 

行きはあまり気づかなかったが、駅の周囲はコリアン市場で極彩色の看板や食材があふれていた。

落ち込んでた心が少しだけ、踊る。

足は自然と市場へと踏み出ししていた。

市場をウロウロして、味見したり、匂いでむせたり、おばちゃんに絡まれたりしてるうちに、死んでいた心が蘇って来るような気がした。

 

市場の奥深くに、終戦直後にノリで建てたようなバラック作りの食堂を見つけた。

一番安い焼きそば定食を注文した。

焼きそばにご飯など普段は絶対にやらないが、大阪っぽくて面白いかなと思ったのだ。

 

絶品だった。

絶妙に濃い味の焼きそばと、白ご飯が織り成すハーモニー。

インターバルの具の少ない味噌汁も大変に味があってよかった。

 

腹が満ちれば心も満ちる。

僕はダメな奴かも知れないけど、つまらなくはない。

あいつらよりももっと面白おかしく生きてやろう。

そう思えるようになった。

 

 

今考えると、焦って変なとこを媚びて心を折られなくて良かったと思う。

心を折ると、自分が何をしたいかさえもわからなくなってしまうからだ。

 

今だって楽ではないし、お金もそんなにないけど、なんだかんだで楽しく生きている。

面白くない事も多いけど、これから面白くしていけば良いのだ。

ラスタマン・バイブレイションはポジティブなのだ。

 

今就活で悩んでる人も、気楽にやればいいと思う。

希望するところに入れれば良いけど、ダメだからといって自分を変えることはない。

仕事なんて世界中に無数に転がってるし、色々試して自分に合うものを求めていけば良いのだ。

無職だって全然構わないと思うし、生きてれば何かと色んな事が起こるから、それに流されてみるのもアリかと思う。

逆にお前みたいになりたくねえから、と奮起するのもアリかと思うし、とにかく心を折らずに気ままに頑張ってもらえれば良いかなと思う。

 

もし心が折れそうになったら、JRに乗って鶴橋駅の市場に迷い込み、これだと思う食堂で好きなものをたらふく食べてビールでも飲みましょう。

それから考えれば良いかと思います。

 

そんなことを思い出したので、誰か鶴橋に焼きそば定食食べに行きませんか?